薬王堂気まぐれ通信使№848 2023-6-25
Yakuoudo Capricious Communications Satellite
6月25日、シダに詳しい友人二人と江田島から能美島にかけて観察してみました。
記憶を基に振り返ってみます。
イノデは広島県全域に自生するオシダ科の植物です。
イノデの名前の由来はイノシシの手のような毛の多い鱗片(イノデ)がたくさんあるという事かららしい。
葉の表面は鮮やかな緑色で光沢が強く鱗片は褐色で目立ちます。
イノデの種類は多く雑種もたくさんあるので鑑別が難しいですがソーラス(胞子嚢群)の位置や葉の特徴で分けます。
県内でよく見られるイノデ・サイゴクイノデ・イノデモドキの違いを見てみましょう!
画像でも判りますが葉のツヤのあるのはイノデとイノデモドキです。
ツヤが無いのはサイゴクイノデです。
葉にツヤのあるイノデモドキの葉身先端が尾状に細く伸びます。
また葉柄の長さに違いもあります。
葉の裏面だけでは判別しにくいです。
しかし葉裏の小羽片につくソーラス(胞子嚢)の付き方に違いがあります。
イノデは小羽片の中肋と葉縁との中間に並びます。
イノデモドキのソーラスは小羽片の外側(縁側)にやや寄って並びます。
イノデモドキは最下羽片に近づくほどソーラスが少なくなり小羽片耳垂辺りに一つか二つ付きます。
判りにくいでしょうが画像で比較してみましょう。
サイゴクイノデのソーラスは更に外側に付き下羽片に近づくほど数が少なくなり耳垂周辺にしか付かなくなります。
最下羽片小羽片には耳垂にのみ1~2個のソーラスしか付きません。
上からツヤのあるイノデ、ツヤのあるイノデモドキ、ツヤの無いサイゴクイノデ
サイゴクイノデの葉柄にある鱗片中央部には暗褐色の筋模様が入りますが他の二つのイノデ類には入りません。
イノデの仲間には他によく見られる種類としてサカゲイノデやツヤナシイノデなどがあり、その雑種もありますので鑑別が難しい種類です。
ここでタニイヌワラビ・ヤマイヌワラビ・ホソバイヌワラビ・ヒロハイヌワラビ・カラクサイヌワラビがありましたので比較してみましょう。
以上の5種類のイヌワラビはすべて株立ちです。
タニイヌワラビは冬にも枯れない常緑のシダで葉軸と羽軸は紫赤色ですが、よく似たヤマイヌワラビに比べると小羽片の切れ込みが少なく先が尖ります。
ヤマイヌワラビは冬は枯れて小羽片の切れ込みがタニイヌワラビより深く先が丸みがあります。↓
タニイヌワラビの包膜(ソーラスを包む皮)は長く中肋に近く付きます。
ヤマイヌワラビの包膜は鈎β形で片方が広くなります。↓
ホソバイヌワラビは冬に枯れる夏緑性のシダで小羽片の切れ込みが更に深くなります。
また羽軸と中肋の接点辺りに突起状の棘のようなものがあり葉裏先端部に零余子(無性芽)が出来ることがあります。
カラクサイヌワラビは柄が細めとのこと、包膜は長形でその下に胞子嚢が見られます。
葉柄が長く葉身幅の広いナガバノイタチシダ、ナガバノイタチシダのソーラスはきれいに並びます。
緑色のツヤのあるオオイタチシダ、オオイタチシダのソーラスは密で多い。オオイタチシダの全形
以下、気が付いたシダ植物を列記してみましょう!
イワガネゼンマイ、鋸歯が目立ち葉脈が交わらない平行脈
イワガネソウ、葉脈は結合し網目状。羽片の先が次第に細くなる。葉脈は鋸歯の先に達しない。
ヤワラシダ、最下羽片が紡錘形で早く標本として包まないと萎れてしまいます。
ヤワラシダとコハシゴシダの比較。コハシゴシダ。
コハシゴシダ、最下羽片上向き小羽片が独立する。コハシゴシダ。
コハシゴシダとハシゴシダの区別。専門書の区別
フモトシダ、ソーラスの形がカップ状。
オクマワラビ、葉裏のソーラス。
シケチシダ、シケシダに似るが倍ほど大きく、葉先が尖り羽片が深く切れ込んで先が丸い。ソーラスに包膜が無い。
ナガバヤブソテツ、ツヤがあり羽片の小葉が長く羽片脈をはさみ平行で面積が同じ。
ゲジゲジシダ、草質で毛が多い。羽片が互い違いに付く。
ヒカゲノカズラ、分布は広い。胞子嚢群
オニカナワラビ、最下羽片の下向き小羽片が長い。葉身先端は次第に細くなり頂羽片状にはならない。
ヒメタチクラマゴケ、ヒメクラマゴケとも言われタチクラマゴケほど葉先が尖らない。ヒネタチクラマゴケはタチクラマゴケより紅葉が見事です。
リョウメンシダ、葉の裏表が同じ色。ソーラスは葉の下部に優先して付く。
オオキジノオ、頂羽片が独立し下羽片では柄がある。
オオバノアマクサシダ、オオバノハチジョウシダに似るが羽片先が10㎝以上長くなる。裏面、根茎部
ホシダとイヌケホシダの混生、
小形のウキクサ、
サイゴクベニシダ、ツヤがある。葉柄・葉軸ともに褐色の鱗片が付く。葉表からソーラスが見えにくく岩場に多い(ベニシダは葉表からソーラスが確認しやすく砂地に多い)
マルバベニシダ、ソーラスが中肋よりに付く。サイゴクベニシダよりも鱗片が少なく鋸歯がない。
サイゴクベニシダとオオベニシダの違い。
オオハナワラビ、あまりない。
ミゾシダ、中軸や葉に毛が多い。ツヤはあまりない。ソーラスは線形で包膜はない。水分の多い場所に生えるシケシダと違いミゾシダはより乾燥した場所まで幅広く生える。
クリハラン、葉身の基部が広いヒロハクリハランもある。
モエジマシダ、イノモトソウと同じく葉裏縁にソーラスが付く。モエジマシダは南方系のシダ。
ハカタシダ、葉に斑入りのものが多い。包膜は円腎形。
オニヤブソテツ、海岸に多く羽片の形が中肋をはさんで否対照的。
コシダ、根が連なり群生する。
ハマナデシコの花
サルトリイバラ
オオバウマノスズクサ アリマウマノスズクサ?
等がありましたね。
島にはいつ来てもいいですね。
岩根鼻。左遠く宮島、右に奈佐美島、私はこの海域でタイを釣っています。